「マンガ飯 凄腕シェフが本気(マジ)で再現」(中京テレビ:バラエティ 2020/1/3放送分)

  • 番組名:「「マンガ飯 凄腕シェフが本気(マジ)で再現」(2020年1/3放送分)
  • 放送局: 中京テレビ
  • 放送日時:2020年1月4日(土曜)午前1時45分~午前2時45分

半年ぶりに観た。体裁は変わらず、田部課長のウンチクに一層のチカラが入っていた。年初の3日間連続して新作を放映したが筆者は最終日のみを録画で視聴した。ブラッシュアップがあったのかどうか。

前半は西条真二著「鉄鍋のジャン」から「飲めるラー油で作る炒飯」。後半はビッグ錠著「一本包丁万太郎」から「球体をしたお好み焼き」だった。

この番組は「マンガ」と「ドキュメンタリー」と「ドラマ」が合体したグルメ番組。だいたいマンガというのは荒唐無稽なものであるから、そのものを再現するのは土台が無理。それを指名されたシェフが苦労していかにマンガに近い一品に作り上げるか、というプロセスの面白みが全てだ。この正月に放送された新作3本のうち他の2本がどうだったかは分からないが、3日深夜放送分については、いささか「おや?」と思うところがあった。

考えてみれば、たくさんの料理漫画の中から、何の料理を選択し、それを誰に作らせるか、出来るのか出来ないのか、のリサーチは大変だと思う。候補に挙げたもののボツになった料理もたくさんあるのだろうと推察する。

そうして選ばれた今作、前半は「四川飯店」名古屋店の河合善行料理長がトライした。が意外なほど簡単に出来てしまった。(と感じた)逆に「球体のお好み焼き」はその荒唐無稽ぶりが際立っていたので、これはどうオチを付けるつもりか、心配になった。創作お好みも積極的にトライするという名東区の鉄板焼「市虎」寺島市朗シェフ。やはりお好み焼を膨らませるとか、バーナーで蒸し焼きにする、というのは無理であったため、マンガの趣旨に似た美味しいタラバガニいっぱいのお好み焼きが出来たには出来た。シェフは精一杯やったけど、これは選んだ料理に無理があったと感じた。(プロセスを見せるがゆえに、敢えて、なのかも知れないが)

今回の放送分を観て思ったのは、前半はマンガの内容が素晴らしく、西条真二という漫画家は良くあそこまで表現出来るほど研究をしたものだな、という「マンガの凄さの確認」。後半はマンガの荒唐無稽さが実現を押し倒してしまった、ということで、「マンガ」という想像上の産物を現実化する作業の難しさを改めて感じた次第。そこにこの番組の醍醐味があるのだと思うが、視聴者の想像より簡単に出来てしまった、とか予想とは似ていないものになってしまったとか、外すと内容のしぼみ方は痛烈に襲ってくるものなのだなという辛さを背負った番組なのだ。

制作現場はこの正月の3連作で一応の役割が済んだとするのか、また半年後にチャレンジしてくるのか。3日夜放送分にどこかこの番組の限界のようなものをみてしまった筆者だが、どう出てくるだろうか。(KING)